From Southern

サザンカンパニーからの月イチコラムです。
書いているのはサザンカンパニーのスタッフ、写真やイラストは、サザンカンパニーと関わりのある方に依頼しています。

第2回『世界で最も美しい本』


印刷博物館にて開催中の『世界で最も美しい本』展を見てきました。 一年に一度ドイツで開催される“世界で一番美しい本”を選ぶ国際コンクールで、すでに40年以上もの歴史を誇るそうです。 今回は1991年から2005年までの受賞作品が展示されており、その中の何十冊かは直接手に取って触れることも可能でした。

年代順に並べられた作品を2005年から1991年に遡って鑑賞したのですが、時代をまるで感じさせない歴代の作品に驚嘆しました。文字、色、製本から紙質までのあらゆる面において内容の伝達に優れた完璧なエディトリアルデザインには、言語の壁も時の流れも関係ないのだということを痛感したのです。 そんな“完璧”で“美しい”本を選ぶのは審査員にはかなりの重責なのではないでしょうか。 たったの一冊を選ぶことの重大さを考えると、実は鑑賞前にはこのコンクールの意義が理解できていませんでした。 観賞してわかったことは、意義の一つにあるのは「感じる」ことの大切さ。 それは、苦労の果てに選び抜いた作品に触れることにより、失われがちなイマジネーションや好奇心を刺激させるということだと思うのです。 

並んだ作品に似たものはなく、すべてが“個”でした。 受賞作の国も様々でしたが、北欧デザインにはシンプルで無駄のない印象を受けましたし、アメリカにはポップでダイナミック、中国や日本には毛筆感、ヨーロッパの作品にはアート感、というように国の個性というものははっきりと出ていたように思います。偏見ではなく、育った環境や文化が生きていることを感じたのです。良いものは他国であれ良いと感じたし、自国のデザイン性に誇りを持ちたいと思いました。

この展示会は、美しくありながらも機能的でなければならないというエディトリアルデザインの本質を実感し、手にする人に大切にしてもらえる仕事をしたいということを思い起こしてくれました。

これからは本屋や自宅の書棚で『自分の中の最も美しい本』を探してしまいそうです。 でもそれはきっと楽しい時間になると思います。

さて、コラム第2回ということもあり少しかしこまった文章になってしまいましたが、今後も好奇心をくすぐることに出会えたら書きたいと思います。そのときはもう少し気楽に。 (デザイナー/江村)